ノイズを遮断して「本当の自分」を知る
「本当の自分は、どういう人間なのか?」が知りたい時は、こんな方法はいかがでしょうか。
仕事が休みの日、朝から一切の「情報」を断つのです。新聞は読まない、テレビもつけない。ケータイ電話やパソコンは電源を入れず、Eメールのチェックもしない。できるだけ時計も見ないようにします。本、雑誌、ラジオ、音楽CD、映画DVDもダメ。一切の情報を断ちます。何か緊連絡が入ることを考え、自宅の固定電話だけは生かしておきましょう。
何の情報も入ってこないということは、外部の世界との連絡を断たれているようなもの。常日頃から膨大な量の情報にさらされ、刻一刻と変化し続ける情報を貪るように吸収し続けている現代人にとって、すべての情報機器やデジタルコンテンツを奪われることは目や耳を奪われるようなものでしょう。
最初は、イライライライラ落ち着かず、たまらないほどの不安を感じたり、もう退屈で退屈で時間の経つのが超スローモー、いつもならあっという間のわずか一時間が永遠のように感じられると思います。
そうこうするうちに。いつのまにか頭の中を、過去から現在に至る膨大な記憶、いろいろ雑多な考えやイメージが脈絡もなく次々に流れ出すでしょう。「ああ、俺はこんなことを考えているのか」、「私はいまこんなことに興味を持っているのね」。ゆっくり時間をかけて丁寧に、頭の中や心の中を見つめることで、自分はどんな人なのかを知るヒントにして下さい。またこの作業を通して、日頃いかに無駄な情報や、あなたにとって必要ない情報に踊らされていたか、それにどれだけの時間をかけていたか、自分にとって本当に必要な情報は何かにも気づくことができるでしょう。
すぐ「はい、判りました!」って言ったほうが得
「これ、やっておいて下さいね」。
家庭や会社、友人知人、地域社会や趣味の世界の中で、何か頼まれごとされた時。あなたは「はい、判りました!」と気持ちよく引き受けるほうですか? それとも「ええっ!? それは困ったな。これこれこういう理由でできません」と断るほうですか。
もちろん正当な理由があって断る時は別です。しかしそうではなくて何となく面倒くさい、大変だから断りたい、できれば他の人に押しつけたいと延々と言い訳を重ねたあげく、結局は、仕事だから、義理がらみだからと引き受けざるをえないことが自分でも判っている時は疲れ切ってしまうし、自分だけ損をしたようなイヤな気分になってしまいます。特に仕事場での頼まれごとは、事実上の命令であり逃げるのは至難の業、そして言い訳はマイナス評価になってしまいます。
そんな時は、こんな風に考えてはいかがでしょうか。自分が何かを頼んだ場合、快く引き受けてもらうのと、いろいろ言い訳されるのとどちらが気持ちいいでしょうか。どうせしなければならないのなら、言い訳や口論をするだけ時間の無駄。その時間を、頼まれたことを実現することにまわしたほうが合理的です。
面倒で大変な仕事ほど、頼むほうも押しつけているようでどこか引け目があります。相手が言い訳したり断ってくるだろうと予想し、どう説得しようか手ぐすね引いて待っているので、逆に「はい!」と快諾すると拍子抜けしてしまいます。ペースを崩しているうちにすかさず「これこれの条件ならできます」と、自分に有利な方向に持っていくよう交渉してしまうのも賢いやり方です。
モノスゴイ集中をしている自分を知る
「集中力」を鍛えるための一番手っ取り早く、効率的な方法は「集中している時に、自分の心と体はどんな状態にあるのか?」を知ることです。水泳やゴルフをはじめ、さまざまなスポーツでは、まず自分のフォームをチェックし、より美しく正しい姿勢や体の動かし方へと矯正していきますが、集中力でもそれと同じことをします。
自宅ですぐできる方法としては、「食事」がいいかもしれません。食卓に座ってから、「ごちそうさま」と食事を終了するまで、自分の体はどう動きいているのか、心は何を感じているのか考えているのかに意識を集中し続けるのです。
ダイニングの光の差し方や雰囲気、窓の外の風景、天気、風の匂いはどんな状態なのか。自分が座っている姿勢はどうか、背筋は伸びているか。箸は正しく持てているか。茶碗や味噌汁のお椀を持つ姿勢は美しいか、音を立てないなどマナーは守れているか。
食卓に並んだオカズの彩り、香り、季節感などを意識する。どの順番から食べようか。箸を伸ばした時の腕の筋肉、肩、背中の動き。口に入れたものを咀嚼する時の口、舌、顎の動き、噛む回数。口内に広がる味わい、歯ざわり。食卓に座ってからの自分の感情の動き、何を見ているのか、頭の中に何が浮かんでいるのか、などなど。
いつものように“何となく”ではなく、食事に意識を集中すると、自分が普段いかに沢山のことをおろそかにしているのかが判ります。そして一日に一回でいいですから、これを毎日繰り替えすと、水泳やゴルフのフォームにあたる、“自分が物事に集中する時の心と体の動き”が明確に判ってきます。その感覚を覚えておいて、何かに集中しなければいけなくなった時に、その感覚を甦らせて心身の集中スイッチを入れればいいのです。
心の動きや手指の先まで意識を集中させることは、ダンスの名手や格闘技の達人がいうところの「心(メンタル)・技(技術)・体(体の動かし方)」をすべて鍛える方法と似ているかもしれません。ここでは食事を例にしましたが、お風呂、スポーツジム、最寄り駅から会社あるいは自宅まで歩いている時でも何でもかまいません。
モノスゴイ集中力で人生を楽しくする
仕事や家事、スポーツ、趣味、レクリエーションなど、さまざまな場面でものをいうのが「集中力」。惰性でダラダラと時間を過ごすより、短時間で物事にガーッと集中したほうが充実感が高く、心身ともに心地よい疲労に包まれるものです。
しかし逆にいえば人間はつい雑念を抱き、集中力を欠いた状態になりやすいもの。取り組むべき仕事の期限が迫っているのに、何となく気が乗らず、後回しにしてしまう。家事をしなければいけないので、特に見たくもないテレビを見たり、CDを聴いてしまう。こんなことは、よくありがちです。
だからこそインターネットで検索したり、街の書店をのぞいただけでも、集中力を高める音楽、集中力を高める食事、集中力を高めるトレーニングなどの情報があふれているのでしょう。
そして、人間は「慣れる」生き物です。経験を積めば積むほど、仕事や家事などに習熟し、自然と体が動くようになるものです。いわばベテラン状態で、これはいい面でもあるのですが、反面では、その作業や動作の意味や目的を何も考えず、まるで自動操縦ロボットのように惰性で動いているとも言えるでしょう。限られた一日の中で、物事を効率よく賢くこなし、クオリティを高めるためにも「集中力」を鍛えましょう。
誰の「お勧め」を信じますか?
「この本いいよ、あなたにお勧め」。別の人が「いや君にだったら、こっちのほうがあってるんじゃないか」。他にも、「あそこのレストラン美味しいよ」。「あの映画はもう見た?」。「この前、雑誌に出ていたけど、あなたにはこういうファッション似合うと思う」。「僕の知っているセレクトショップとってもいいよ。素敵なものがそろってるんだ。今度一緒にいかないか?」。
本、音楽、映画、ファッション、お店、etc。あなたが友だちが多く、人気者であるほど、さまざまな人がいろいろな物を勧めて来ます、いろいろな情報を与えてくれます。でも時間もお金も限られており、自分の好きなものや趣味も大切にしたいから、いくら善意で勧めてくれているといっても全てを試してみるわけにはいきません。片っ端から断るのも角が立つし、そうした“お勧め”の中にあなたの人生を変えてしまう物との出会いがあるかもしれません。こういう時は、どうしたらいいのでしょうか?
簡単です。“自分とよく似ている人”の意見やお勧めを採用すればいいのです。物の考え方、センス、育ってきた環境、性格、美意識、モラルやマナーなどのライフスタイル、好きな映画・本・音楽・ファッションなどなど、好きな物が重なることが多い人、あなたがリスペクトする人のお勧めはハズす可能性が低いし、何よりもあなたがまだ知らないけれども、でもあなたにピッタリな素敵なものを教えてもらえる可能性が非常に高いのです。
「ありがとう!」名人は愛され上手
日常のさまざまな挨拶の中でも、特に大切なのが「ありがとう」です。
子どもの頃は、自分が立場や経験が一番下だから、親、兄や姉、祖父母、学校の先生、近所の大人たちに何かしてもらうことが多く、自然と「ありがとうございます」と口にしていたと思います。
しかし大人になるとどうでしょうか。
会社の上司、仕事の取引先、あるいはお世話になった恩師などには「ありがとうございます」と自然に言えても、目下の部下や新入社員、下請けや協力会社など立場が下の人たち、あるいは妻や夫、子どもたちにどんな小さなことでも何かしてもらった時、きちんと「ありがとう」と言っていますか。
もしかしたら悪気はなくても、自分のほうが年齢や役職、見識が上だから、あるいは家族に対しては家長だからという理由で「やってもらって当然。お礼を言う必要はない」と考えていませんか。
どんなに年を経ても、偉くなっても素直に「ありがとう」と頭を下げられるのは、心が柔軟な証拠です。自分に自信があり、しかもいくつになっても学ぶべきことはあるという謙虚さや、目下の者や若い人からもどんどん学んで吸収してやるといういい意味での貪欲さがある証拠。そんな若々しい心を持った、実力はあるのに偉ぶらず気さくで物分りのいい上司やお父さんは、きっと周囲のみんなに愛され大人気なはずです。
対人力アップは、気持ちのいい挨拶から
おはようございます。こんにちは。ありがとう。どういたしまして。お疲れさまです。ご苦労さまです。さようなら。
毎日の生活の中で、周囲の人々と挨拶の言葉を交わしてますか?
「そんなのやってますよ、大人なら当たり前じゃないですか」。そういう声が聞こえてきそうですが、それでは形だけの“心をこめた挨拶”をしていますか?
挨拶は礼儀やマナーであると同時に、“私はあなたに敵意をいだいていませんよ、あなたに好意や興味を持っています。楽しい時間や関係性を一緒に作っていきたいです”というメッセージを発しているのだと考えて下さい。
好意のメッセージなのですから、しかめっつらで口の中でボソボソ「……おはよう」とつぶやくよりは、笑顔で明るく元気に「おはようございます!」と声に出したほうがいいのです。
疲れていてそんな気になれない時でも、無理矢理に口角をニッと上げるだけで“ウソ笑顔”が簡単に作れます。元気で明るいフリで挨拶を続けていると、まさに“形から入る”で、いつのまにか本気で明るく元気な気分になってくるから不思議です。人は気分がいいこと・楽しいことは努力せずとも継続することができるのです。
そうやって家族、親しい友人知人、会社の同僚、隣近所の人と気分よく挨拶し続けていると、最初は面倒だったものが自然と習慣化していき、いつの間にかあなたの評判もよくなっていくことでしょう。
気配り上手は好かれ上手
人と人の付き合い、コミュニケーションを取る上で大切なのは、「相手の立場・役割・気持ちを想像することだ」とはよく言われますが、実際にはとても難しいですね。
例えば、電車の中で高齢者に席をゆずろうとした場合を想像して下さい。
「どうぞ!」と席をゆずったのに「いやけっこうです」と断られたらどう感じますか。
「こっちも疲れているというのに、せっかく勇気を出してゆずってやったんだから。気持ちよく座ればいいだろう。私のほうが目立って恥ずかしかったぞ」。これでは、すべて自分中心にしか物事を考えていませんね。
もしかしたら年寄り扱いされたのがイヤだったのかもしれません。すぐ降りるから申し訳ないと思ったのかもしれません。
高齢者に席をゆずる時は、ゆずってやるんだからという態度ではなく、座席から半分腰を浮かせて「よろしかったらお座りになりませんか?」とテンポよく声をかけ、しかも相手に座るか否かの判断をするイニシアティブをゆだねましょう。「どうもありがとうございます。でもすぐ降りるからけっこうですよ」と言われたら。相手の表情や声のトーンで本当に降りるのか、ただ遠慮しているだけなのかを判断。もし遠慮しているのだと感じたら、その先かなり長く乗り続ける予定でも、「私もすぐ降りるのでどうぞ」と嘘をついてしまいましょう。ここまですれば相手も気持ちよく座席につくことができます。
大切なのは、自分が「~してあげる」という上から目線ではなく、どうやったら相手が気持ちよく振舞えるのか、自分の提案に乗ってくれるのかという想像力です。そして相手からお礼や感謝の言葉を期待してはいけません。そのあなたの謙虚な態度が、相手の心を開き、自然と感謝の言葉を引き出します。
すぐに役立つ読書術
プライベートでも仕事でも、何か本を読む時は役に立ちそうなところや重要なところにマーカーや罫線を引いたり、付箋紙を貼り付けてチェックするという人は多いと思います。ちょっと前にも三色ボールペンを活用した読書法が流行しました。
そこで質問です。
「読書中にチェックした重要部分は、その後なにかの形で利用しましたか?」。
多くの方が、答えはNOだと思います。しかしせっかくマーキングや罫線を引いても、その数が多すぎてどこに何が書いてあるのか忘れてしまった、本棚にチェック済みの本がいっぱい眠っているということでは、せっかく読書およびチェックに費やした時間が無駄になってしまいます。
まずチェック箇所は、例えば「最重要」は赤、「すぐ使える情報やメソッド」は青などと決めて二色のみに限りましょう。重要度に何段階かの優先順位をつけてチェックしても、あまりに箇所が多すぎるとページが真っ赤に染まって無意味になってしまいます。読書中に「これは最重要か否か」「すぐに役立つか否か」を考えることで、惰性で何となくチェックを入れることを防ぐという効果もあります。
読書が終わったら、チェックした箇所のあるページをもったいないですが破くか、その全文ではなく内容や趣旨を手で書き写すか、パソコンで入力するかなどしてメモを作って並べます。ズラリと並んだメモの中から、自分がその本を読んだ目的を考えながら、関係ある情報をくっつけて並べたり、サマリー(要約)を作ってみると“生きた知恵”として活用することができる、内容がきちんと頭に入ってくる、一度覚えた内容をなかなか忘れないなどいいこと尽くめです。
当たり前を当たり前にし続けるスゴさ
人にあったら、ちゃんとあいさつをする。人が嫌がることはしない。お友だちとは仲良くする。嘘をつかない。人の物は盗らない。話をする時は、ちゃんと相手のほうを見て話を聞く。早寝早起き、遅刻はしない。爪は切りましたか、ハンカチと鼻紙は持ちましたか、身だしなはちゃんとしてますか。人を不快にさせるしぐさはしていませんか。
幼稚園で先生が、幼い子どもたちに言い聞かせることばかりですが、それはビジネス社会や地域のお付き合いでも一緒。驚くべきことに、こうした基本的なことができていない大人がいっぱいいます。
昨日も残業で寝不足、満員電車にもまれようやく出社。ブスっとした顔でオフィスに入り、挨拶されても無言。大事な会議中や接客中に貧乏ゆすりをしたり、よそみ、こっそりあくびをしたり。仕事はできるのだけれども態度物腰が冷たい、人を見下しているように見えてしまう。これではいくら素敵なブランド物の服を着ていたり、例えばMBA(経営学修士) 、TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)などなど素晴らしい資格を持っていたとしても「ビジネスマナーに秀でた“魅力的な人物”」とは言えません。
難しく考えることはありません。人生で必要なことはすべて子ども時代に学んでいます。当たり前のことを当たり前にする、それは大変なことですが、あわてず焦らず毎日続けているだけで「あれ? あの人ってあんなに気さくな人だったかな。以前と違って雰囲気が柔らかくなっていい感じだ」と、あなたの評価が変わってくることは間違いありません。