心豊かで楽しい手抜きガーデニング
花や植木鉢、観葉植物などの“緑”が部屋にあると心が和みます。水や肥料をやり、昼は太陽に当てる、余分な葉をカットする、虫がつかないようにする。
サン=テグジュペリの有名な童話『星の王子さま』(翻訳、内藤濯、岩波書店)にこんなセリフがあります。
《あんたが、あんたのバラの花を とてもたいせつに思ってるのはね、そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ》
植物や花に手間隙をかけた分だけ愛情も湧き、その成長に心を癒されるでしょう。しかし仕事や家事、子育てが忙しい、家が狭い、知識が無いから枯らしてしまうのが心配など、さまざまな理由で“緑”を育てるのが無理な方もいらっしゃるでしょう。
そんな時は、出勤や買い物の途中に見つけた道端の花壇、公園、電柱の陰の野草、どこかの家の庭に見かける花や植物を愛でてはいかがでしょうか。
そんなのつまらないよと思う方、騙されたと思って一度やって見て下さい。これがなかなかに趣きがあるのです。
ルールは簡単、その“緑”が自分のために咲いてくれている、育っていてくれると思うこと、毎日の道すがら1分でいいから足を止めて目で慈しみ、心の中で挨拶をすること。たったそれだけを毎日繰り替えすと、いつのまにか暑い日や寒い日、強い風の日など不思議なことに「大丈夫かな、ちゃんと育ってるかな」と気になりだします。そばを通った時に自然と足を向けている、目を向けている自分を発見します。他の誰も知らない、自分の「秘密の花園」がそこにある、自分のためだけに咲いていてくれると思うと、どんなに忙しく疲れていても心の中に温かいものがじんわり広がり、思わず微笑んでしまうでしょう。