見る目を育てる
さていよいよ具体的に「自分にピッタリなファッション」を探してみましょう。
《要するに、お洒落、なんて力んでみても、所詮、人の作ったものを組み合わせて身に着けてるにすぎない。 ならば、いっそまやかしの組み合わせはよしたがいい。 正調を心がけようではありませんか》
これは映画監督でエッセイストの故・伊丹十三氏が、著書『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)の中で紹介している、ファッションに対するポリシーです。
例えば、バッグはルイ・ヴィトンかエルメス、靴はクリスチャン・ルブタン、スーツはシャネルと“正調”でかためてしまうのも一つの方法ですが、いかんせんお金がかかり過ぎます(笑)。
簡単な方法としては、「見る目を育てる」ことをお勧めします。
昔は、骨董品屋に見習いとして入った小僧さんは、まず3年くらいは“本物のいい物”だけを、できるだけたくさんひたすら見続けたのだそうです。そうすると「捨て目が利く(物の真贋が判る)」ようになるのだそうです。
同じように、まずはファッションに関心を持ち、たくさんの物を見るところから始めてみましょう。パリやミラノ、ニューヨーク、東京などファッション最先端の場所で“いま何が流行っているのか?”を雑誌やインターネットでチェックしましょう。そしてファッションブランドだけではなく絵画や写真、風景、人、インテリア、物など美しいもの・可愛いものをできるだけ多く見て、審美眼や美的センスを磨きます。
もし気になる服や靴、バッグがあったら実際に百貨店やそのブランドのショップに行ってじかに見てみる。とても気になるもの、欲しいものがあったら、ショップの店員さんに話しかけ、いろいろ話を聞いてみましょう。そして気に入った物を購入することになったら、そこがファストファッションであれ、高級ブランドショップであれ、これから自分の買い物を担当してもらう店員さんを一人に決め、以後は必ずその人から買い物をするようにします。そうするとその人が、ファッションのプロとしてあなたのアドバイザーになってくれるからです。自分にあった“担当さん”を決める場合は、好きな映画や音楽、本、ファッションなどの話をして気が合う人にすると、センスが近いので自分が気に入りそうな物だけを勧めてくれるなど、いろいろな面で話が早いでしょう。