親切は、回りまわってハイリターン
どんな仕事でも、自分が担当している業務はたった一人で行っているわけではなく、会社全体や部署内のワークフローの一部です。ですから誰かのミスやトラブルを全員でカバーするという状況もよくあります。こういう時に、その人の度量の広さ、仕事のスキル、危機管理能力、行動力など「自分力」の大きさが良くも悪くも出てしまうものです。
自分の仕事で忙しいのに、「仕事はチームワーク、お互い様だから気にするな」とにこやかで頼もしい人。一刻も早く全員で事態の収拾に取り掛からなければいけないのに、「自分がいかに忙しいか。だから手伝えない」と逃げを打つ人、今は一分一秒でも時間が惜しいのに担当者の責任追及を執拗に続ける人。どちらのほうが、みんなの目から“自分力の高い、魅力的な人”に映るでしょうか。
日本には、《情けは人のためならず》という古いことわざがあります。人に親切にすると、まわりまわってその親切が自分に返って来るという意味です。新約聖書『マタイによる福音書』にも、《汝ら、人を裁くな。裁かれざらん為なり。己が裁く審判(さばき)にて、己も裁かれ、己がはかる量(はか)りにて、己も量らるべし》という一節があります。人に対して厳しく寛大でない人は、自分も同じような不寛容な扱いを受け、人に優しく親切な人は自分もそう扱われます。誰かの危機やトラブルを見るに見かねて、親切に助けるだけでも「自分力」が高いのに、さらにその経験を通して仕事のスキルや問題解決能力までUPするなど他人の親切にすることはいいことづくめなのです。