シンプルクッキングで自分力を磨く
料理上手になって「自分力UP」を図ろうと決めた時はどうすればいいでしょうか。料理のレシピ本を集めて片っ端から作ってみる、料理学校やカルチャースクールに通うのも手ですが、もっと簡単でお金のかからない方法があります。それは「シンプルなメニューを徹底的に追求すること」です。
例えば、オムレツ。昔の洋食屋では、新米コックはオムレツから学び始めたと言います。卵を傷つけないよう殻を割り、塩だけのシンプルな味付け。熱したフライパンにバターを落とし、焦がさないようにする。卵料理は、古今東西、強火でサっと仕上げるのが美味しく調理するコツだとか。卵を入れてから菜ばしでかき混ぜ、卵が焦げ付かないよう、表面は夏のひまわりみたいなまっ黄色、中は半熟トロトロに仕上げがるようにフライパンを振る、火を加減を調節する。オムレツが出来たら、黄色が映えるように吟味した皿にオムレツを壊さないように慎重に置く。
シンプルなオムレツで、これだけたくさんの調理技術が学べます。
●他にも、お米を心を込めて研ぎ、正確な水分を軽量し、土鍋でご飯を焚いてみる。
●卵をあらかじめ冷蔵庫から出して常温に戻してから、よくアメリカの映画や小説に出てくる「3分半茹での半熟ボイルドエッグ」を作る。
●オーブントースターで二度焼きした、表目はカリカリ、中はフワッ、バターがじゅわのホテルで出てくるようなバター・トーストに挑戦してみる。
いずれも作ってみると判りますがシンプルな料理ほど奥が深く、“本当に美味しいもの”を作るには高度な調理技術、いま行っている作業の意味を正しく捉える集中力、失敗を次につなげるための観察力や分析力、そして研鑽と修行が必要なのです。
よいスーパーで効率的・快適に買い物をしよう
上手に家事の手を抜き、より安く、より効率的に買い物をするためには、“よいスーパーマーケットの見分け方”を知ておくことも大切です。専門的には、入り口付近に旬の果物が置いてある、原産国や原産地・生産者などの情報が明示してある、精肉のパックを平積みしていない、砂糖や醤油など日用品の通常価格が安いなどいろいろなチェックポイントがありますが、そういう難しいことは全て忘れてしまいましょう!
今まで大中小、チェーン展開の店、個人経営の店をいろいろ見てきましたが、高齢者が笑顔で買い物をしている店は、商品価格も安く、質や鮮度のいいお買い得な特売品が豊富。年金暮らしで限られたお金で暮らしている高齢者も、大満足の店である可能性が高いでしょう。
さらに高齢者は、若い人たちに比べてどうしても体の動きがスローモー、杖や歩行器代わりのショッピングカートやシルバーカーを使う場合も多く、それでも見やすい陳列や価格表示、通りやすい通路を心がけ、何かあったらすぐ店員がめざとく見つけ手助けしに飛んでくる、いつも笑顔で「おじちゃん、おばあちゃん、こんにちは。いつもお元気ですね」などの声かけを励行するなど、高齢者が笑顔の店はすべてにわたって神経が行き届いている可能性が高いのです。そういう店は、幼児や子どもを連れたおかあさんや家族連れなど誰に対しても優しい店ですから、近所にそういう店がないか一度チェックしてみてはいかがでしょうか。もしどこにあるか判らない場合は、地域の高齢者の情報網とシビアな批評はすごいですから、お知り合いや近所のおじいちゃん、おばあちゃんに聞くのがいちばんです。
限りある時間と体力を賢くお金で買う
こんな時、あなたならどうしますか?
●最近仕事がハードで疲労がたまってる。でも夫と子どもたちのために、もうクタクタだけど晩ご飯の支度をしなきゃ。デパ地下でお弁当や惣菜買ったり、デリバリーでピザ取っちゃダメよね。高いし、それじゃ手抜きで良妻賢母とは言えないわ。
●これから、お得意先への商談だ。プレゼン用の資料が多くて重いし、あそこの会社は最寄り駅から遠いんだよなあ。忙しいし、駅からタクシーのほうが近いし早いし使っちゃおうかなあ。でも、もったいないよなあ。
●退社後、夕方の混み合うスーパーマーケットで慌ててお買い物。今日は、豚肉が特売ね。でも卵と牛乳は、一駅先のスーパーのほうが××円も安い。体も足もヘトヘトに疲れてるし、今買った荷物が重いけど節約のためにもう一軒のほうも行こうかしら。
以上ご紹介した三人とも、真面目で頑張りやさんなので結論は、「よーし、頑張って節約しよう!」。前向き元気で節約を心がけるのは、とても素晴らしいのですが、本当に疲れている時や心と体がすり減りそうな時だけは、こう考えてはいかがでしょう。
「体力や時間をお金で買うのだ」と。
そこで心身の頑張りを使い切ってしまうと、後で本当に頑張れなければいけない時にはもう無理がきかず、ダウンしてしまうかもしれません。頑張って、頑張って、頑張ってもうヘトヘトな時こそお金を賢く使い、浮いた時間や体力を家族団らんや夫婦の会話、趣味の時間などに上手に使ってリフレッシュを図りましょう。とことん頑張ることも自分力ですが、限られた体力や精神力、時間をどううまく振り分けるかという作戦を立てること。家事の手を上手にに抜いて休息を取ることもまた素晴らしい自分力なのです。その日だけを考えれば、お金を余分に使ってしまったことはいけないかもしれませんが、1週間、1カ月の長い目で見れば、休息をうまく取ってリフレッシュしたほうが、かえって家事や育児、仕事の効率が上がるというものです。
心豊かで楽しい手抜きガーデニング
花や植木鉢、観葉植物などの“緑”が部屋にあると心が和みます。水や肥料をやり、昼は太陽に当てる、余分な葉をカットする、虫がつかないようにする。
サン=テグジュペリの有名な童話『星の王子さま』(翻訳、内藤濯、岩波書店)にこんなセリフがあります。
《あんたが、あんたのバラの花を とてもたいせつに思ってるのはね、そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ》
植物や花に手間隙をかけた分だけ愛情も湧き、その成長に心を癒されるでしょう。しかし仕事や家事、子育てが忙しい、家が狭い、知識が無いから枯らしてしまうのが心配など、さまざまな理由で“緑”を育てるのが無理な方もいらっしゃるでしょう。
そんな時は、出勤や買い物の途中に見つけた道端の花壇、公園、電柱の陰の野草、どこかの家の庭に見かける花や植物を愛でてはいかがでしょうか。
そんなのつまらないよと思う方、騙されたと思って一度やって見て下さい。これがなかなかに趣きがあるのです。
ルールは簡単、その“緑”が自分のために咲いてくれている、育っていてくれると思うこと、毎日の道すがら1分でいいから足を止めて目で慈しみ、心の中で挨拶をすること。たったそれだけを毎日繰り替えすと、いつのまにか暑い日や寒い日、強い風の日など不思議なことに「大丈夫かな、ちゃんと育ってるかな」と気になりだします。そばを通った時に自然と足を向けている、目を向けている自分を発見します。他の誰も知らない、自分の「秘密の花園」がそこにある、自分のためだけに咲いていてくれると思うと、どんなに忙しく疲れていても心の中に温かいものがじんわり広がり、思わず微笑んでしまうでしょう。
人づき合いも頑張りすぎない
人づきあい、お得意ですか?
親類縁者、職場、住んでいるマンションの住民やご近所、子どもの学校のお友だちのお母さんたち、趣味の集まり、友人知人などなど。人が生きていく上では、さまざまな場所で多種多彩な人間関係を築いていく必要があります。人は誰でも、心理的・物理的にほかの誰かと関わり合わないと生きていけないからです。
だからこそなのでしょうか、人が抱える悩みのほとんどは、人間関係に原因があると言っても過言ではないでしょう。
自分の言いたいことがうまく伝わらない。会話やあいさつを頑張ってみたけれども。会社や近所、交友関係の中に気が合わない人、相性がよくない人がいて気が重い。生真面目な人ほど、判りおうと努力したり、友だちになろうとしても相手に気持ちが通じず、疲れ切ってしまうことがよくあります。
「誰とでも仲良く、全ての人と同じようにつきあわなければいけない」。
あなたは、そう思いこんでいませんか?
人は生まれ育った場所の歴史や文化、親の教育、今までの経験、性格などで物の考え方や生き方が大きく違います。全ての人と判りあえる、仲良くするというのは理想ではありますが、現実的には不可能です。喧嘩や絶縁をする必要はありませんが、あの人と自分は判りあえないのだと承知した上で上手に距離を取りましょう。
そして自分と考え方や趣味嗜好、生き方において共通する部分が多い人や、また逆に性格や考え方は全く違うのに、その違う部分を素晴らしい個性だと感じて惹かれる人など、自分のことを知って欲しい、相手のことがもっと知りたいと思う人とだけ、ゆっくり時間をかけて心をこめて丁寧に関係を築いていけばいいのです。人間関係においても上手に手を抜くことで、楽しく充実してイキイキ暮らすことは可能なのです。
チャッチャッとその場でやれば、すぐ終わる
食事が終わってゆったりしたいのに、台所のシンクに溜まった調理器具や食器の山。昨日から気になっていたけど、忙しいのでそのままになっている洗面台の水アカ。部屋のすみや照明器具にたまったホコリ、etc、etc。
毎日の家事の中でも、最も気が重く、面倒くさい、つい後回しになってしまう物の一つが「掃除」だと思います。休みの日にエイヤッ! と溜まりにたまった掃除を一気に片付けて家は綺麗になったけれど、もう夕方、体も疲れきって休養や心身のリフレッシュにならなかった。そんな経験はありませんか。そんなことにならないように掃除もどんどん積極的に手を抜いてしまいましょう!
コツは簡単、汚れは“気がついた時・目についた時にチャッチャッと片付ける”。これだけです。
食事の支度をしている時に、調理に使った鍋やフライパン、ボウル、菜箸、フライ返しなどをどんどん洗う、シンクに溜めない。汚れた調理台やガス台も片っ端から布巾でふきあげる。料理が完成し、皿に盛り付けた時には、これから使う食器以外に汚れ物が何もない状態にしておけば、食後の洗い物も簡単です。
洗面台やお風呂、トイレを使い終わったら、はねた水、飛び散った石鹸カスや歯磨き粉をすぐふき取る、ブラッシングで落ちた毛を拾って捨てる。入る前のピカピカの状態にしてからバスルームや洗面室を出る習慣を身につけましょう。部屋の中や床のホコリは、化学雑巾やブラシで目に付いた時に掃除しておきます。
それぞれの掃除作業はすごく簡単で手間いらず、せいぜい2、3分で十分でしょう。しかも毎日使うたびにチャッチャッと片付けていけば、汚れやホコリがたまりませんから、たまの休みに一日かけて一気に掃除をする必要もありません。
“手抜き”を上手に楽しむ
いくら最近の男性は家事に協力的だと言っても、多くのご家庭ではやはり家事は女性がメインに担当することが多いと思います。それはまだ結婚していないカップルや、独身の女性も同じでしょう。
毎日、遅くまで会社で働いて、あるいは朝から晩まで家事や育児、家族のための買い物などに忙しく動き続け、ようやく帰宅したらもう夕食の時間。家族やパートナーの笑顔と健康のため、疲れた体に鞭打って夕飯の支度に取りかかる。何ごとにも一生懸命な女性ほど、手を抜かず、味・彩り・献立の豊富さ・栄養学的にも完璧な食事を作ろうとする傾向が強いように思います。それはとても素晴らしいことなのですが、仕事でひどく疲れた時、今日は何だか気が重いという時は、たまには上手に手を抜いてみませんか。
日本料理界の大御所、神田川俊郎さんの有名なセリフ、「花に水、人に愛。料理は心や」にあるように、料理にはその人の心の状態が出てしまいます。ゆったり楽しい気分で作れば美味しく、せわしなくイヤイヤ作れば味も見た目もイマイチになってしまうのです。
そんな時は無理せず、「手抜き料理」を卑下するのではなく、むしろ積極的に楽しんでしまいましょう。例えば、副菜はレトルト食品や冷凍食品、市販のお惣菜など「あり物」を上手に利用して、メインのオカズだけはしっかり手をかけて作る。デパ地下やスーパーで前から気になっていたお惣菜を試しに買ってみる。あり物を利用する時も、買って来たパックや容器そのままで食卓に並べるのは殺風景すぎるので、季節感や色味を考慮した食器に美しく盛る。もう疲れすぎてオカズはすべて買ってすませたいという時でも、ご飯や味噌汁だけは心を込めて丁寧に作る。
こんな風に楽しんでみてはいかがでしょうか。
限界以上に頑張らない「自分力」
自分力を鍛えようと考える方は、すでに仕事に家事に頑張っているにも関わらず、さらに「今のままじゃ駄目だ」という自らの課題や「こうありたい」という理想を持つ、どちらかというと物事に生真面目な努力家が多いようです。そういう方は、自分力の一つとして「必要以上に頑張らない能力」を手に入れてみてはいかがでしょうか。
家では、妻として夫して、あるいは親として模範的な生き方をし、会社では人並み以上に前向きに精力的に働いている、あるいはアフターファイブや休日は趣味の世界を追求したり家族サービスにいそしむ。友人知人、地域の方々や子どもの学校の保護者の皆さんとの交流も大切にする。
とても素晴らしい生き方ですが、時に疲れ果ててしまう、辛くなる、泣きたくなってしまうことはありませんか。こんなに頑張ってるのに、みんな判ってくれない。なんで私一人だけ貧乏くじを引かなければならないのだろう。
せっかく素晴らしい生き方をしているのに、そんなネガティブな考え方になってしまってはもったいないと思いませんか。時には、効仕事や家事、日々の暮らしのいろいろなことを頑張りすぎず、ホッと一息で心と体をリフレッシュして、また明日からイキイキ充実して頑張りましょう。
そこで頑張りやさんのあなたに、効率的かつ楽しく“上手に手を抜く方法”をお教えします。
料理上手は、自分力アップの達人!
自分力を鍛えるためには、集中力、主観と客観的思考のバランス、いまここに集中しながら同時に全体や未来を見渡す幅広い視点、プロデュース能力、リスクヘッジ能力が必要だと折に触れて語ってきました。その全てを同時にトレーニングする方法があるのをご存知ですか? それは「料理」です。
「なんだ、そんなこと毎日やっていますよ」とガッカリするのは早すぎます。
では料理をする時に素材の買出しに始まり、下ごしらえ、火加減、味付け、煮る・焼く・揚げる・炊くの全ての動作や作業に至るまで、常にその意味を考え、次の流れを予測し、細やかな神経を使っていますか。それを意識をする、しないで料理の味・品質・見た目は格段に違います。
ます料理は、自分および他の誰かに食べさせるために作るもの。あの人はこういうジャンル、こういう味が好きだからと、自分の好みや得意料理(主観)と、相手の食べ物の好みやその時の旬の食材(客観)を同時に考えてメニューやレシピを決めているはずです。メニューを決めたら、料理本を見ながら、あるいは記憶や経験を駆使して調理スタート。食材の下ごしらえや切り方で、味の染み込み方や食感が大きく変化する、どういう肉や魚だからどういう火加減で調理すると美味しい、調味料はさしすせそを入れるタイミングでウマイ・マズイが左右されるなどなど、料理は何となくアバウトにやっているわけではなく、それぞれの作業には“~ねばならない”という科学的な裏づけがあります。
つまり、いまやっている作業が正しく行われているかに集中し、同時に次の作業をどの手順・タイミンングでやるべきなのかを全体の流れの中で計算しなければならないのです。しかも熱い料理は熱く、冷たい料理は冷たく、揚げ物はパリパリサクサク、焼き物はジュウジュウなど、複数の料理をすべてベストなタイミングで供するためには。、調理の流れやタイミングの計算はより複雑に。とても高度なプロデュース能力が求められるのです。
見る目を育てる
さていよいよ具体的に「自分にピッタリなファッション」を探してみましょう。
《要するに、お洒落、なんて力んでみても、所詮、人の作ったものを組み合わせて身に着けてるにすぎない。 ならば、いっそまやかしの組み合わせはよしたがいい。 正調を心がけようではありませんか》
これは映画監督でエッセイストの故・伊丹十三氏が、著書『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫)の中で紹介している、ファッションに対するポリシーです。
例えば、バッグはルイ・ヴィトンかエルメス、靴はクリスチャン・ルブタン、スーツはシャネルと“正調”でかためてしまうのも一つの方法ですが、いかんせんお金がかかり過ぎます(笑)。
簡単な方法としては、「見る目を育てる」ことをお勧めします。
昔は、骨董品屋に見習いとして入った小僧さんは、まず3年くらいは“本物のいい物”だけを、できるだけたくさんひたすら見続けたのだそうです。そうすると「捨て目が利く(物の真贋が判る)」ようになるのだそうです。
同じように、まずはファッションに関心を持ち、たくさんの物を見るところから始めてみましょう。パリやミラノ、ニューヨーク、東京などファッション最先端の場所で“いま何が流行っているのか?”を雑誌やインターネットでチェックしましょう。そしてファッションブランドだけではなく絵画や写真、風景、人、インテリア、物など美しいもの・可愛いものをできるだけ多く見て、審美眼や美的センスを磨きます。
もし気になる服や靴、バッグがあったら実際に百貨店やそのブランドのショップに行ってじかに見てみる。とても気になるもの、欲しいものがあったら、ショップの店員さんに話しかけ、いろいろ話を聞いてみましょう。そして気に入った物を購入することになったら、そこがファストファッションであれ、高級ブランドショップであれ、これから自分の買い物を担当してもらう店員さんを一人に決め、以後は必ずその人から買い物をするようにします。そうするとその人が、ファッションのプロとしてあなたのアドバイザーになってくれるからです。自分にあった“担当さん”を決める場合は、好きな映画や音楽、本、ファッションなどの話をして気が合う人にすると、センスが近いので自分が気に入りそうな物だけを勧めてくれるなど、いろいろな面で話が早いでしょう。